今回紹介するのは発売当時、まだ小学生だったわたしがスーパーファミコンでプレイし、大人になった今でも強く記憶に刻まれているゲーム「クロノトリガー」。
様々なハードに移植されているものの、発売から年数が経過しているため、
「タイトル名や楽曲を聞いたことはあるけどプレイしたことはない」という人も多いかもしれません。
そこで今回は、日本だけでなく、海外からも高い評価を受けている名作RPG「クロノトリガー」の魅力について解説していきます。
目次
名作「クロノトリガー」とは
「クロノトリガー」が残した功績は以下の通り(一部のみ紹介)
・「平成のゲーム 最高の1本ランキング第1位を獲得」(ファミ通)
・「外国人が選ぶ日本のRPG第1位を獲得」(2013年「Gameranx」)
タイムトラベルをテーマとした本作のストーリーは、数々の場面が強く印象に残るだけでなく、
細部までキレイに表現されているグラフィック、各シーンを見事に盛り上げるBGM、共に完成度が高い。
また、登場するキャラクターは敵味方、共に個性的で非常に魅力的。
肝心の戦闘システムは、FFシリーズのアクティブタイムバトルを拡張した「ATB Ver.2」を採用。シームレスで戦闘に突入するため、戦闘をテンポよく楽しむことができる。
発売当時、RPGのゲームの売り上げでダブルミリオンを達成できていたのは、スクウェアの「FF」、エニックスの「ドラクエ」しかなかったが、
クロノトリガーは国内で203万本を売り上げ、ダブルミリオンという偉業を達成している。
奇跡の「ドリームプロジェクト」
クロノトリガーの開発及び製作には、ファイナルファンタジーの「坂口博信」、ドラゴンクエストの「堀井雄二」、ドラゴンボールでおなじみの漫画家「鳥山明」の3名が参加。
スクウェアとエニックスは現在は合併しているものの、以前は別々の会社だったため、
この企画がゲーム雑誌などで取り上げられた際は、夢のコラボとして大きな話題を呼んだ。
また、鳥山明氏はクロノトリガーが発売された1995年には、
週間少年ジャンプにて「ドラゴンボールZ」を連載中。漫画家としての人気と知名度も絶頂であった。
そんな大物3人が手を組んで製作されたクロノトリガーは、ゲーマーだけでなく、多くの子供たちからも注目を集めていた。
モンスターはドラゴンクエストのような鳥山明氏のテイストを感じるが、
その一方で背景など、キャラクター以外のグラフィックに関しては、FFやスクウェアが手掛ける作品を彷彿とさせる。
FFとドラクエ、この2つの作風を開発陣が見事に調和させ、クロノトリガーの世界観を完成させた。
作中の主人公は、ドラクエシリーズの主人公と同じように言葉を喋らず、リアクションで対応をする。
その一方で、クロノトリガーに登場するアイテムや魔法などの名前・用語は、FFやスクウェアの作品に使われているものがメインとなっている。
ドリームプロジェクトといっても、坂口博信氏、堀井雄二氏、鳥山明氏の3名は、
それぞれ担当する役割が異なるため、それほど深く関わってはいない。
それにも関わらず、これほど素晴らしい作品が完成したということは、
製作に関わったスクウェアの開発陣の技術力も非常に高かったということがうかがえる。
音楽界に大きな影響を与えたBGM
クロノトリガーに使用されている楽曲は、発売当初から現在に至るまで、多くのユーザーの記憶に強く残り続けるほど、インパクトの強いものとなっています。
クロノトリガーのオープニング曲に関しては、世界からの評価が高く、楽曲のリミックスや、フィギュアスケートの楽曲にも使用されることが多々あります。
音楽を担当したのは作曲家の光田康典氏。
クロノトリガーが作曲家としてのデビュー作となっており、後に「ゼノギアス」や「クロノクロス」といったゲームや、アニメ「イナズマイレブン」の音楽も手掛けている。
オープニング曲やメインテーマ、各キャラクターのテーマソングや戦闘シーンの曲など、どの曲も強く記憶に残る名曲揃い。
また、クロノトリガーの音楽の影響は国内だけにとどまらず、海外からも高く評価されており、
様々なアーティストがサンプリング曲として使用しているほどである。
一部ではあるが、クロノトリガーの楽曲が使用されている海外のサンプリング曲は以下の通り。
・Wiz Khalifaの「Never Been」
・memorex cdsの「Hodgy Beats」
・Logicの「Used To Hate It」
ストーリーや戦闘シーンを盛り上げるBGMは、1度耳にしたら年数が経過しても覚えていられるほど印象に残るものが多い。
「魔王決戦」
序盤のスローテンポと風の鳴り響く音は、魔王という恐ろしい存在の不気味さを見事に表現しており、
徐々にテンポアップしていく曲調と、キャラクター達の掛け合いに合わせた曲の入り方はプレイヤーのテンションを大いに高めてくれる。
演出と曲が絶妙なバランスで噛み合っているので、このシーンを目の当たりにする度に鳥肌が立つ。
「時の回廊」
古代に存在する浮遊大陸のフィールドで使用されており、
魔法王国や浮遊大陸といった非現実的な存在の「神秘さ」が感じられる楽曲。
落ち着いたテンポのこの曲は、「作業用BGM」としても非常に人気が高い。
「風の憧憬」
中世のフィールドで使用されている曲。
主人公がいる現代の穏やかなで明るい曲調とは異なり、どこか寂しげで落ち着きのあるBGMとなっている。
フィールドの霧のグラフィックとBGMがよくマッチしており、中世の物静かで独特な雰囲気をより強く感じられる。
クロノトリガーのBGMに魅了された方には、
光田康典氏自身が「クロノトリガー」と「クロノクロス」の楽曲を新たにアレンジし、ボーカルによる歌唱を加えたアレンジアルバム「ハルカナルトキノカナタヘ」をおすすめしたい。
原曲とはまた異なった数々の楽曲の良さを感じられるだろう。
細部まで美しく描かれたグラフィック
上記の画像は作中のシーンの一部。
主人公や登場するモンスターなどのキャラクターのグラフィックも素晴らしいが、
画面左側にある建物や、後ろに見える山々や雲など、背景のグラフィックも非常に美しく表現されている。
数あるスーパーファミコンのゲームの中でも、間違いなくトツプクラスのグラフィックだったと言えるだろう。
ストーリーのテーマは「タイムトラベル」
クロノトリガーのあらすじ
時はA.D.1000年の現代。ガルディア王国で暮らす少年・クロノは、千年祭の会場でマールという少女と出会う。
クロノとマールは千年祭の会場を一緒に見て回っている途中、幼馴染で発明家の少女ルッカとその父親が発明した転送装置の実験に付き合うことに。
実験に参加したマールのペンダントが輝き始めると、時空の歪みが出現。
突如として現れた時空の歪みに飲み込まれたマールは、ペンダントだけを残し、そのまま時空の歪みの中へと消えてしまう。
消えてしまったマールを救うため、残されたペンダントを身に着けたクロノも時空の歪みの中へ。
マールを追いかけてクロノがたどり着いたのは、
クロノのいる現代(A.D.1000年)より400年も前の世界、中世(A.D.600年)のガルディア王国だった。
マール救出後、時空の歪みを超えてクロノたちが偶然たどり着いたのは、荒廃した世界が広がる時代。
そこは、未知の生命体「ラヴォス」によって滅ぼされた「自分たちの世界の未来」ということを知る。
滅びの運命を回避するため、クロノと仲間たちは時空を超える冒険へと旅立つのであった。
物語の舞台となる7つの時代
・時の最果て
どの時代にも属さない謎の場所。物語に登場する全ての時代へと通じており、クロノたちの旅の拠点となる。
・未来(A.D.2300)
未知の生命体「ラヴォス」によって荒廃させられてしまった世界。
・ラヴォスの日(A.D.1999年)
出現したラヴォスによって世界が崩壊させられてしまう日。
・現代(A.D.1000年)
クロノが住む平和な時代。転送装置によってゲートが出現した。
・中世(B.C.600年)
ヒトと魔族が争う時代。ルッカ親子の実験の事故でマールがたどり着いた世界。
・古代(B.C.12000年)
「魔法の王国ジール」と浮遊大陸が存在し、魔法が使われていた時代。
・原始(B.C.65000000年)
人間と恐竜人が次の時代への生き残りをかけて争っている時代。
未知の生命体「ラヴォス」
原始時代に宇宙から飛来した未知の生物。
飛来した際、凄まじい速度で星の地中深くへと潜り、クロノたちの星に寄生した。
寄生した星そのものを食らって力を蓄えるだけでなく、
その星に住むあらゆる生物の遺伝子を集め、自己進化を遂げる。
十分に力を蓄えると地表に姿を現し、地表に光の雨を降らせて世界を死滅させる。
星を崩壊させ、地表を自分のテリトリーにした後、星の遺伝子を持った子供を産み落とす。
生まれたラヴォスの子供たちは、新たな星へ寄生するために宇宙へと旅立つ。
行動による歴史改変もゲームを楽しめる要素の1つ
クロノトリガーには、「あのタイミングで行動したらどうなるんだろう?」というようなプレイヤーの好奇心を満たすようなサブイベントもいくつか存在する。
行動のタイミング次第では、得をするようなことが起こったり、
その一方で、誤った行動を取ってしまったがゆえに取り返しのつかないことになってしまうサブイベントも存在。
タイムトラベルという設定を大いに活かした様々なサブイベントは、メインイベントとは異なる楽しさを感じさせてくれる。
記憶に残る、個性豊かなキャラクター
クロノトリガーに登場するキャラクターは、敵味方共に個性豊かで魅力的。
カエルやロボットといった、人間型ではない仲間も登場する。
上記の画像のロボット(ゴンザレス)は、序盤にしかほとんど関わることが無いが、
マイクを持っており、戦闘中にも音楽に合わせて独特な歌を歌うので、
クロノトリガーを1度プレイしたら、たとえ年数が経過しても決して忘れることは無い敵と言えるだろう。
クロノトリガー経験者はすぐに分かるであろう、ビネガー。
「どこか間の抜けた敵キャラクター」ということが、ストーリー中の行動やリアクションを通して伝わってくる。
スクウェアとエニックス、この2つの会社は「愛されキャラ」や「どこか憎めないキャラ」を生み出すのが本当に上手い。
今作でも魅力あふれるキャラを作り上げ、ストーリーを大いに盛り上げてくれている。
シンプルだが奥深さも楽しめる戦闘システム
戦闘に参加できるパーティメンバーは最大で3人。最終的には7人の中から3人を選び、パーティを組むことになる。
戦闘の難易度はそれほど高くないものの、ゴリ押しでどうにかなるというほど優しい難易度ではないので、
状況をや敵との距離を見極め、敵を倒していく必要がある。
シンボルエンカウント
エンカウントはシンボル性になっており、敵の一定距離まで近づくと戦闘が開始となる。
画面は切り替わらず、シームレスで戦闘へと突入するため、プレイヤーはテンポよく戦闘が楽しめる。
ただし、特定の場所では思いもよらぬ場所から敵が出現し、いきなり戦闘へと突入してしまうこともあるため、
ダンジョンによっては地形をよく観察しながら進む必要がある。
ATB Ver.2
本作のバトルシステム「ATB Ver.2」は、FFシリーズのアクティブタイムバトルを拡張したものである。
従来のアクティブタイムバトルと異なる点は以下の通り。
・味方キャラ3名のコマンドウィンドウが同時に表示される。
・敵キャラクターは戦闘中に動き回る。
・技を使用するタイミング次第では、攻撃できる敵の数が変化する場合がある。
敵が直線上に並んでいる場合に有効的な技、限られた円の範囲に有効な技、
ターゲットにした敵の延長上にいる敵も巻き込む技など、
モンスターの位置や場面によって有効な技が変わるという戦闘システムになっている。
敵は戦闘中に動き回るため、タイミングを上手く見計らって攻撃することが重要になる。
2~3人で繰り出せる「連携技」は非常に強力。
キャラクターの組み合わせ次第で出せる連携技が異なるので、パーティメンバーを入れ替えれば、様々な戦術が楽しめる。
連携に参加したキャラは、まとめて行動が終了してしまうので、
戦況をよく把握しつつ、各キャラの行動を決める必要がある。
ただ、終盤においては各キャラのステータスも上昇し、強力な技も覚えるため、
活躍しなくなる連携技も出てくる。
3人の連携技を使うと3人とも行動が終了し、回復などのサポートがおろそかになるため、
強敵との戦闘では、技や連携技を発動するタイミングもよく考えなければならない。
ボスによっては特殊行動による攻撃を持っていることを知らず、
うかつに手を出してしまい、気づけばパーティーが全滅しているなんてことも。
序盤の弱そうなボスでも、味方の最大HPを軽々と越えてしまうほどの大ダメージを与える特殊なカウンター攻撃などを使う場合もあるので、
「さあ、攻撃してみろ!」といった、戦闘中に表示されるウィンドウのメッセージは見逃さないようにしなければならない。
異なるエンディングが見れる「マルチエンドシステム」
本作の中で1番独特なシステムと言っても過言ではないのが「マルチエンド」。
ストーリーのクリアするタイミングによってエンディングが変わるというシステムになっている。
エンディングの種類はSFCだと12種類+バッドエンドとなっており、
SFC以外のクロノトリガーでは13種類+バッドエンドとなっている。
エンディングの内容はシリアスなものもあれば、ユーモアを感じさせるものや、開発陣に関するネタなどもある。
これほどの数のエンディングが用意されているゲームは、なかなか珍しいと言えるだろう。
最初から味方キャラが強い「強くてニューゲーム」
クロノトリガーはストーリーを1度クリアすると、
1周目のステータス、所持していた一部のアイテムや装備を引き継いで2週目をプレイすることが可能。
2週目以降は序盤からラスボスと戦うことができ、
キャラが強ければ序盤にクロノ1人でラスボスを倒すことも可能となっている。
周回すれば、1周で1個しか入手できない強いアイテムを人数分揃えることも可能。
ステータスを最大まで上げて最強パーティーを作るといったやり込みも楽しめる。
まとめ:クロノトリガーをプレイできる時代に生まれてこれて本当によかった。
発売から数十年経った今でもなお、
日本だけでなく、世界中から愛されている「クロノ・トリガー」は
「ゲームって、やっぱり最高だ」、そんな気持ちにさせてくれる作品。