高額な報酬がもらえたり、楽という話を聞く治験バイトですが、「不安があるので挑戦できない」という人は意外と多かったりします。
しかし、実際のところ、治験は厚生労働省の規則に従って行われており、しっかりと安全面への配慮もされているため、特に怖がる必要はありません。
今回は、過去に10回を超える治験バイトを経験した私が、治験バイトの内容について体験談を交えながら詳しくご紹介していきます。
目次
治験バイトとは
治験バイトとは、様々な安全性試験の結果、人に使用しても安全と予測された新薬の効能・安全性を確かめる試験(治験)に参加する有償ボランティアのことで、
治験は、人体を対象とした新薬の最終チェックです。
そのため、治験では新薬を使用した際の様々な実験データをとらせてくれるボランティアの存在が欠かせません。
「有償ボランティア」なので、治験に参加し、協力してくれた人には負担軽減費(協力費)が支払われます。
治験バイトの種類は2つ
治験バイトは、「通院タイプ」と「入院タイプ」の2種類があります。
通院するタイプは、自分と病院側で決めた日に通院し、検査や診察などを行います。1日で終了するタイプもあれば、数日開けて定期的に通院するタイプもあります。
体調に大きな変化を起こさないために、「自転車」などの移動手段で通院することを禁止される場合もあります。
入院するタイプは、1泊だけのものから数週間、長期的なものだと1ヶ月にわたって入院するものもあります。
長期間入院する治験では高額な協力費も支払われますが、治験中は病院の外に出られなかったり、
決められた時間にしかスマホを触れない、テレビの視聴時間を決められるなど、生活面で色々と制限されることが多くなる場合もあります。
治験バイトに応募する方法
治験バイトは「バイト」という単語がついているものの、医療ボランティアという分類になっており、アルバイトとして分類されているわけではありません。
そのため、求人情報サイトやアルバイト情報誌などにも掲載されていません。
治験バイトを探す場所は、以下の2つになります。
・病院、もしくは病院のホームページ
・治験バイトの仲介サイト
仲介サイトは比較的多くの治験バイトの案件を扱っているため、比較・検討がしやすいです。
自分の希望に合った条件も見つけやすいので、まずはサイトに登録し、様々な治験バイトを探してみるといいでしょう。
応募後の主な流れ
治験バイトに応募した後の流れを解説していきます。
1: 説明会への参加
治験バイトに応募すると、説明会に参加することになります。
事前説明会では、使用する薬や治験のスケジュールの関する詳細な説明があります。
治験バイトには、いくつかの大事な決まり事などもあるので、疑問など分からない事があればしっかりと確認するようにしましょう。
治験バイトは合否判定があるため、必ずしも応募した全員が治験に参加できるわけではありません。
説明会に参加した際、「自分には無理そう・・・」などと感じることもあると思いますが、
そんな時にはキャンセルすることも可能なので、特に心配することもありません。
2: 健康診断を受ける
説明会への参加した後は、説明会の直後か日を改めた後日に健康診断が行われます。
この健康診断は、治験に参加するにあたり、問題の無い健康状態であるか、または治験に適した身体であるかを判断するために行われます。
健康診断の結果、治験に適している身体だと判断されると治験バイトに参加できます。
治験バイトの応募に関する注意点
治験バイトに応募をする際、注意してほしいのが「休薬期間」です。
治験のバイト経験がある場合、身体に前回の薬の効果が残っていると予期せぬ副作用が出たり、正確なデータがはかれなくなる可能性があるため、前回の治験から約4ヶ月程度の期間を空ける必要があります。
また、市販薬や健康食品、サプリメントなども治験に影響を及ぼす可能性があるため、使用から十分な期間が空いていない場合は、治験を受けることが出来ないことも。
治験バイトへの参加を検討している方は、普段から健康に気を付け、適切な休薬期間をとり、次の治験に影響が出ない状態を維持しておくようにしましょう。
また、入院タイプの治験バイトでは、病院から外出することができず、集団生活をおくることになります。
自分のスケジュール管理も含め、治験が行われる場所の環境・ルールなどは事前にしっかりと理解しておくようにしましょう。
治験バイト開始後、何らかの理由で参加のキャンセルを希望する場合、途中で辞退することも可能となっています。
治験体験談
過去に10回以上の治験バイトを経験している私が、「入院タイプ」と「通院タイプ」の2種類の治験に参加した際の体験談をご紹介します。
入院タイプの治験バイト
まずは、4泊5日の入院タイプの治験バイトに参加した際の体験談をご紹介します。
治験の主な内容
4泊5日病院に滞在し、入院期間中は決められた時刻に錠剤(ジェネリック医薬品)の服用と検査がありました。
病院からの外出と激しい運動はできなかったものの、それ以外の行動に関しては比較的自由だったので快適に時間を過ごすことができました。
入院中の生活について
入院中は、他の治験バイト参加者と共同生活を送りました。
ごく普通に参加者同士で雑談を楽しんだり、持ち込んだ本やゲームで時間をつぶしたりすることができたので、非常に充実した時間を過ごせていたと思います。
人に迷惑がかかるような自分勝手な振る舞いをしなければ、基本的に相部屋の人と仲が悪くなるということもありません。
他人とコミュニケーションをとるのが苦手なので1人で過ごしたいという人でも、テレビや雑誌、マンガなど、時間をつぶすための備品が充実していたので、時間を持て余してしまうこともほとんどないでしょう。
入院中の食事に関しては、病院食ということもあり、それほど期待はしていませんでしたが、私の予想とは反対に、栄養バランスの良い美味しい食事を提供していただけました。
ただ、食事は病院によってクオリティーが異なるため、過度な期待はしないほうがいいでしょう。
入院タイプの治験で私が感じた「良かったこと」
1: 健康的になって帰れる
この治験に参加して良かったと感じたことの1つは、病院側に決められた規則正しい生活を送ることにより、治験終了時に健康的になって帰れることです。
普段の生活だと就寝時間が遅かったり、食生活が乱れてしまうということがありますが、治験の入院生活では、栄養のある食事が毎日3食提供され、就寝時間も決まっています。
そのため、入院生活を続け、治験が終わって帰る頃には、身体が健康的になっています。
2: 短い期間にも関わらず、高額な報酬が得られる
2つ目に良かったことは、短い期間で高額な協力費が支払われることです。
一般的に考えると、高額な報酬を得るためにはキツイ作業をしたり、長時間の労働をしなければなりません。
しかし、入院タイプの治験の場合は、3~4泊程度の期間で10万を越える報酬を得ることも可能となっています。
健康的になって帰れたうえに、高額な報酬まで支払われるというのは非常に嬉しく思いましたね。
入院タイプの治験で私が感じた「不満な点」
1: 入院生活中の行動が制限されてしまう
治験バイト中は、服薬時のデータや体調などに大きな変化や悪影響が出ることを防ぐために、外出や運動などの行動が制限されます。
病院内という閉鎖的な環境にずっといると、外に出て散歩をしたり、身体を動かしたりしたくなってきます。しかし、それができません。
基本的には自由に過ごせるのですが、外出や運動ができないという点に関しては若干のストレスを感じました。
2: 採血の回数が多い
入院中は多い時で、1日に6回~8回程度の採血が行われました。
治験の採血は回数も多い場合がほとんどなので、駐車が苦手な人にとってはかなりつらいといえるでしょう。
しかし、今回の治験バイトでは「留置針」によって採血が行われていたため、注射針によって何度も痛い思いをすることはありませんでした。
しかし、中には採血の際に毎回注射を行う治験バイトもあるので、採血方法が気になるという方は事前に確認しておくといいでしょう。
3: 提供される食事以外、口に出来ない
治験では正確なデータが必要なので、病院側から提供される食事以外は口にすることができません。
また、食事の摂取量も決められているため、おかわりをすることもできず、間食もできないため、
人によっては、採血よりも食事の制限のほうが辛く感じることもあるでしょう。
通院タイプの治験バイト
次に、8回通院して行う治験バイトに参加した際の体験談をご紹介します。
治験の主な内容
この治験は、指定された期間中に薬を飲み続けるというもので、ある特定の症状を持つ体質の人を対象にして行われました。
入院タイプの治験は、主に男性に対して募集がかかることが多いのですが、
今回参加した通院タイプの治験の場合は、募集条件として「特定の持病やアレルギーなどを持っている」という部分が重要視されていたため、参加者の男女の割合に大きな差はありませんでした。
病院への通院生活について
通院での治験は平日に行われ、今回は合計で8回の通院がありました。
検査にかかるおおよその所要時間が決められていますが、時間が前後することもあるため、検査の日は基本的に予定をすべて空けておく必要があります。
通院タイプの治験は、数ヶ月単位で行われることが多いため、ある程度時間を自由に使える方でないと参加は難しいでしょう。
病院では、薬の効果を確認するための診察・検査・採血・検尿などが行われ、かかる時間は病院によって様々ですが、1回の検査の所要時間は平均1時間前後、長くても2時間前後でした。
また、治験バイト期間中は日誌を書く必要があり、バイトが終了するまでは基本的に毎日、日誌を書くことになります。
通院タイプの治験で私が感じた「よかったこと」
1: 治験によって体質が改善された
通院タイプの治験に参加して一番良かったと感じたことは、新薬によって体質の改善及び治療が行えたことです。
普段の通院なら、診療費や薬代などを支払う必要がありますが、
治験の場合は新薬を使用し、診察や身体の検査も受けられるうえに、悩みの種となっている持病や体質の改善までできるので、私にとっては非常にありがたい体験だったと言えるでしょう。
2: 自分の食生活を見直せた
通院タイプの治験に参加すると、食事や生活に関わることを日誌に記載することになるのですが、
いざ、日誌に3食の食事内容を書いてみると、自分の食事のバランスに偏りがあるということを改めて認識することができました。
食事は普段、なにげなく食べているだけなので、気付けることも少ないですが、改めて文字にして認識してみると、様々な問題点が浮き彫りになってきます。
今回の治験は体質の改善だけでなく、自分の食生活を改めるための大きな良いきっかけとなりました。
通院タイプの治験で私が感じた「不満な点」
1: 決められた時刻にしなければならない行動が多い
入院タイプの治験バイトでは、決められたルールの中で自由に過ごし、採血や検査などは決まった時間にスタッフの方が行ってくれるため、自主的に何かをしなければならないということはあまりありません。
しかし、通院タイプの場合は決められた日時に通院する必要があるだけでなく、毎日決められた時間に薬を服用したり、食生活や生活習慣などにも注意を払う必要があります。
そのため、通院タイプの治験は様々な自己管理が大変だと感じてしまうことがありました。
2: 日誌を毎日記入するのが面倒
私が過去に参加した入院タイプの治験では、基本的に毎日検査を行うため、日誌を書くということはありませんでした。
しかし、通院タイプの場合は決められた日時にしか検査をしないため、治験のバイト期間中は毎日日誌を書かなければなりません。
日誌はプライベートの忙しさに関係なく、毎日記入しなければならないため、少し面倒だと感じてしまいました。
副作用の補償と治療
治験バイトは、厚生労働省の規則に従い、安全な薬で試験が行われます。しかし、それでも薬の副作用が必ず出ないというわけではありません。
過去の治験で私自身は副作用が出たことは一度もありませんが、稀に副作用が出ることもあります。
万が一、副作用が出てしまった場合、直ちに治験が中止され、医師や医療スタッフによる治療が速やかに行われます。また、治験バイトが終了後に副作用が出た場合でも同様の治療や処置が行われます。
治験は補償が義務付けられており、副作用の処置にかかる治療費や入院費、薬代に関しては、基本的に自分で負担する必要がありません。
治験参加中に副作用が発生した際には、副作用についての説明がされ、治験への継続参加の意志が確認されます。
薬の副作用の注意点に関しては、事前説明会で渡される説明文書に記載されており、スタッフの方からも説明があります。
よく検討してから治験への参加・不参加を決めるのが良いでしょう。
こんな人は治験に向いている
体験談を踏まえて考えると、治験バイトに向いているのは以下のような人です。
・注射や点滴が平気
・集団生活でルールを守ることができ、苦痛を感じない
・食生活や生活リズムが変わることに苦痛を感じづらい
・行動に制限(外出禁止や間食禁止)が課せられても平気
・時間に余裕があり、予定の調整がしやすい人
治験バイトは高額な報酬がもらえる一方で、ある程度の我慢やストレスに耐えることも必要となります。
そのことをよく把握し、許容できる人は治験バイトへの参加を検討してみるといいでしょう。
女性が参加できる治験は少ない
女性は、生理によるホルモンバランスの乱れにより、体温や体重、体調などに変化が起きやすいため、薬の正確なデータが取りにくいのです。
そのような理由から、女性を対象とした治験バイトは、男性を対象とした治験バイトよりも案件が少なくなっています。
女性を対象とした治験には、美容系やサプリメント、頭髪や生理などに関する案件がありますが、募集は頻繁にかかるわけではありません。
入院タイプの治験に関しては、「ほとんど無い」と考えてもらってもいいでしょう。
入院タイプの治験バイトで高額な報酬をもらいたいと考えている女性の方は、治験バイトの仲介サイトに登録し、自分が望む条件のバイトを探したり、情報収集などをしておくことをおすすめします。
まとめ
治験で支払われる報酬は比較的高額なため、「裏バイト」などという表現が使われますが、
秘密裏に行われているわけでもありませんし、厚生労働省が定めた規則に従って行われる有償ボランティアなので怪しいことは1つもありません。
新薬を用いる検査によって持病や体質などが改善されたり、規則正しい生活を送ることにより身体が健康になる場合もあります。
高額な報酬以外にも様々なメリットがある治験バイト。
気になる方はまず最初に、短期の治験バイトに参加し、流れを把握してみることをおすすめします。